株式投資で損失が出ても節税できる!上場株式等に係る損益通算と繰越控除を解説

投資
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今回は、前回に引き続き株の内容を解説していきます!
株式投資は利益を得るための手段ですが、市場の変動により損失が出る場合もあります。しかし、損失をそのままにするのではなく、税制上の仕組みを活用して節税する方法があるのをご存知でしょうか?本記事では、「上場株式等に係る損益通算」と「繰越控除」について、わかりやすく解説します。


損益通算とは?株式投資における活用方法

損益通算とは、一定の所得間で利益と損失を相殺する仕組みです。上場株式等の売却で損失が出た場合、その損失は次のような利益と相殺できます。SBI証券などで、源泉徴収ありにしていると、自動的にこの損益通算はやってくれます!

損益通算の対象

  1. 上場株式等の譲渡益
     同じ年に発生した他の株式やETFなどの売却益と相殺可能です。
  2. 配当所得
     「申告分離課税」を選択した配当金が対象です。総合課税を選択した配当金は対象外です。

たとえば、A社株式の売却で50万円の損失が出た場合、同じ年にB社株式の売却益が50万円あり、さらに配当所得が10万円あれば、損益通算を行うことで課税対象の所得を10万円(50万円 + 10万円 − 50万円)に減らせます。


繰越控除の仕組み

損益通算をしても控除しきれない損失が残る場合、その損失は翌年以降3年間にわたり繰り越して控除できます。この制度を利用することで、翌年以降に得た売却益や配当所得と相殺し、税負担を軽減することが可能です。

繰越控除の要件

  1. 確定申告が必要
     初年度に損失を申告し、損失額を税務署に届け出る必要があります。ここが少々面倒くさいですね...
  2. 毎年の申告が必要
     繰越控除を受けるためには、翌年以降も継続して確定申告を行う必要があります。

損益通算と繰越控除の具体例

ケース1:損益通算のみを利用

2024年に上場株式の売却で50万円の損失が出たが、同じ年に30万円の売却益があった場合:

  • 50万円 − 30万円 = 20万円
    この場合、残りの20万円はさらに課税対象所得を減少させます。そのため、このままであれば課税はされません。

ケース2:損益通算+繰越控除を利用

2024年に50万円の損失が出て損益通算で控除しきれなかった場合:

  • 翌年(2025年)の売却益40万円と相殺し、課税対象は10万円に。このときは確定申告をする必要があります。

申告分離課税とは?

株式や配当所得に適用される「申告分離課税」とは、これらの所得を他の所得と分離して税率20.315%(所得税15%、住民税5%、復興特別所得税0.315%)で課税する方式です。損益通算や繰越控除を利用するためには、この課税方式を選択する必要があります。


注意点

  1. 損益通算の対象は限定的
     総合課税の配当所得や他の所得(給与所得など)は対象外です。
  2. 期限を過ぎると適用不可
     繰越控除は3年間有効ですが、1年でも申告を怠ると翌年以降は適用できません。
  3. NISA口座は対象外
     前の記事でも述べましたが、NISA口座内で生じた損益は非課税のため、損益通算の対象外です。よろしければ前書いた以下のサイトでNISAに関しては詳しく解説しています!

新NISAの成長投資枠とは?高リターンを目指す中上級者向け投資を分かりやすく解説! | 自分らすく生きよう


損益通算や繰越控除を活用すべき理由

株式投資における損益通算と繰越控除は、損失を節税に活かす重要な仕組みです。特に以下のような投資家に適しています:

  • 頻繁に売買を行うトレーダー:年間で損益が変動しやすい
  • 配当所得を得ている投資家:配当と売却損の相殺が可能
  • 資産運用を中長期で考える方:繰越控除を活用した節税が可能

まとめ

上場株式等の損益通算と繰越控除は、損失を活用して税金を抑える強力な仕組みです。これらを正しく利用することで、投資効率を高めることができます。初めて利用する方は、必要な手続きや申告期限を忘れずに行い、最大限のメリットを引き出しましょう。

さらに詳しい情報は国税庁公式サイトをご覧ください。

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